+ ハパチ。 +

00/探偵物語

 私の名前は探偵ちくわ。
 つか、要するに首領パッチってやつ〜!?
 面倒なんで説明は後!どこにも聞いてる奴いないし〜、みたいな。
 自己完結したところで、いっちょ本日の仕事と洒落込むぜ!
 今日はここにある、『ぼくは見た!地球外生物の存在!』っつー葉書を寄越したパチ村パチ男さんからの依頼で動いている。オラ見ちまっただ、な生物について調査してもらいたいと、怯えた字で書かれた投書を受け取ってしまったんだな。
 まあ、探偵なんつうのは、その日暮な稼業だからな。どんな話があっても別に驚きゃしねえ。
 はあ!?
 その葉書自体、自分で書いたんじゃねーかだとッ!????
 だったらなんなんだよ、文句あっか!!!!!(床へバシッ)

 …と、マジ切れすんのはそのくらいにして(早)、その生き物を調べるべく、俺はとある一室にやって来た。

 まだ朝も早いので、怪しい気配に気づく奴はいない。
 腕時計を見ると、午前二時。
 丑三つ時じゃねえか………!!!、てことで、早速白いシーツの上に乗っかった。
 一瞬自分の足じゃ届かない高さかと思ったが、側に椅子があって助かったぜ。しっかし、一人で一室使うなんざ良いご身分だぜこの地球外生物がっ!!
 こちとら最近は雑魚寝ばっかだこんちくしょうッ!!!、っつー個人的ツッコミはともかくとして、忍者顔負けの体捌きで俺は目的地に到着した。
 ここに、得体の知れない何かが眠っている。
 ごくり、と唾を飲み込み、俺はシーツを剥いだ。
「…!!!!!!」
 やはり噂は本当だったようだ。
 山ができてる!
 ここは砂場だったのか。
 そうか〜、と花畑を想像して和みつつ、黒?い物を引っぺがした。
 そこからにょっきりと顔を出した物を見る。見入る。かなりの間注視した。
 何これ。
 ?
 食べ物?
 けど山で取れる野菜の仲間みたく、もさもさしてはいなさそうな艶だ。いや、艶とか言うレベルじゃねえ。何だか青筋立ててるみてーだし。傘の裏っ側に菌糸みてえな筋があるわけじゃねえし。
 触ってみたけど、熱いからやっぱ野菜じゃないみてえだ。それに手触りはなんか人の肉質っぽい。けど色は全然違う。むしろ血色悪くねえ?みたいな感じだ。貧血気味っつーより、今はなんだか調子良いです先生、みたいな感じだな(無理するな!)。
 なるほど、こいつが宇宙人の正体だったのか!
 しかし、見れば見るほど奇怪な形だった。そもそも、そんなの俺にはついてないっつーか。
 よいしょとベッドの端から移動して、そいつと向かい合うように盛り上がった山を跨いだ。
 さっきはごつごつしたところだったけど、座り心地はそれよりマシな感じだった。柔らかくねーしちょっと膨らんだとこはあるけど、観察場所としては最適な位置だった。ちょっち目の前過ぎる気もしないでもないけど、じっくり見るには適当な場所だった。
 長さとしては。うーん…口の辺りまであるな。太さは大体、俺のげんこつよりもう一回りくらいでかい感じだ。
 こいつが本当に秋の味覚の王様とかいう奴だったら、きっと何百万とかしたんだろうな。スーパーが客寄せなんかのために買いそうなディスプレイ用のあれよりもでけえ。つか、立派だ。んじゃ、何千万とかの類いかもしれねえな。すげえ、特大じゃねえか!!!
 びびった。見たことねえもん俺、そんなハイレベルな品!
 そ、そんなものが本当にあるなんて…。
 ここは一つ、味見してみるしかねえな。
 舐めたって齧らなきゃ痕はつかねーんだし、わかんねえだろ。
 価値が下がったりはしないっつーか。
 そもそも発見者俺なんだし、誰に憚ることがあるってんだ。
 そんじゃあまあ、頂きますってことで。
 …舐めた。
 一回じゃわかんなかった(なんか、やっぱ熱い)。
 もっかい舐めた。
 (うーん、茸の表面ってこんな味だったっけ。)
 もう一回舐めた。
 全然わからん。
 更に舐めた。
 なんか、やっててまどろっこしくなった。
「てめーは生き物の分際で、人間様(誰)を惑わす気かよッ!!!!」
 叫ぶと、上から口の中へ突っ込んだ。
 こーすりゃ一発だろうと思ったからだ。
 でか過ぎて舌で転がすなんて真似はできなかったけど、とりあえず中でもごもご言わせてたら、そっから何か出てきた。ちょっと粘着質の入った、苦い物が。
 ようやく、それらしくなってきたじゃねえか。
 不味くても平気だぜ。俺は大人の男なんだからな!
 コーヒーには必ず砂糖五杯とか、苦瓜はやめて!とか、色々あるけど、まあそれも気分次第でどうにかなるっつーか。
 両手を添えて先っぽを口から出し入れしてたら、なんだかそれがどんどん出てきた。面白いように一杯出てきた。まるでポンプみてえと思ったら、つい集中し過ぎて夢中で頬張ってた。
 はふはふと時々それを引き抜いて外で息をする。
 咥えてる最中じゃ、全然口が余らなくて呼吸困難になっちまいそうだったからだ。動いてる間にも、そいつはむくむくと成長してるっぽかった。なんだ、さっきより更に値段が上がるのか!?
 これって、これって、これってお得ーーーー!!!!
 そう思ったらもっとやる気が出てきた(何の)。
 やってやるぜ。俺はやるぜ、見ていてくれとーちゃん!!!
 もー、あとは速さとの戦いだったぜ。
 どうやったら早く口ん中から出して入れられるかを考えたら、座ってるわけには行かなくて。立ち上がったら、一生懸命スクワットしてるみたくなったぜ!
 そのうち俺の情熱の迸りが天に通じたのか、そいつが痙攣したみたくぶるっと震えて、それから濃い牛乳みてーなのを噴き出した。つか、牛乳に片栗粉入れて(入れたことねーけど)ねばねばさせたような液体っぽかった。
 いきなりだったんで少し口に入ったし、顔なんか額から鼻まで真っ白く汚れちまった。何が起こったのか全然わかんなくてしばらくぼーっとしてたら、手の中で握ってたそいつがしんなりしてるのに気がついた。
 どうしたやまさん!しっかりしろ、傷はまだ浅いぞ!!!、って何度も叫んでたら、そいつはようやく立ち上がってくれた。
 一番最初に見た時ほど元気じゃなかったけど、とりあえずぷくーって膨らんで、頭を上に向けてくれたんで助かったっつーか。
 ほーって全身で安心して息を吐いたら、何と今度はそいつが喋りだしたってわけよ!!
 何!?これってミラクル愛の奇跡ってドラマだったの!???
 とはいってもそいつは人語を喋れないみたいで、ただ俺には奴が言いたいことだけはわかった。
 男と男の魂が、人類を超えて地球を超えてわかり合えた瞬間っつーの?
 そいつが言うには、もっと他のところでしゃぶってくれ、だった。
 はあ?、と俺が聞き返しても、断固としてそれが良いって言って聞かなかった。
 他の所とか言われても、口以外に入りそうなところなんてないし。
 あー、もしかしてあれか?
 足の間になんかできるところ。
 俺はよく知らねえけど、俺の子分の一人がしょっちゅう指とか舌とか入れてくるところのことを言っているんだろうか。
 尋ねたら、うんってそいつは頷いた。
 上下に動いたわけじゃねーけど、とりあえずぴくって頭が動いた。
 なるほど、そこが良いのか。
 しゃあねえ、どうしてもって言うんじゃ仕方ねえか。
 俺は諦めて、自分のまたぐらを開いてそこを覗いてみた。
 何にもねえ。つか、俺の身体は下も上も右も左もおんなじ形おんなじ色のボディだけどな。
 そこに入れるところがあるらしいんだが、目で見てもさっぱりだった。
 うーん、とか思いながら、手を伸ばして触ってみても結果は同じだった。
 全然つるつる。押しても引っ張っても(無理)球面なのは変わらなかった。やっぱアイツの指とかじゃなきゃ無理なんじゃねえ?と思ってたら、そいつはちょっとこっちに来いとか言ってきた。
 何するつもりかと思ったけど、とりあえず俺じゃどーもならんみたいだから、言う通りにしてやった。
 立ち上がって、俺の足よりちょっとだけ短いそいつを股の下に挟んだ。
 腰を屈めただけでつきそうなくらい、そいつが成長してたのには驚いた。子どもは親の知らないところでちゃんと育ってるってことを実感してたら、そいつが早く来いと催促した。
 お客さんせっかちねえ〜、とか言いながら尻をそこにくっつけたら、途端にぐにって音がした。
 え、なに!?茱萸!???
 そんなものが私の身体の中に!???
 慌てて立ち上がろうとしたら、急に膝から力が抜けた。
 拍子に、そいつの先端が股間に当たった。さっきまで何をやっても何も起こらなかったのに、そいつが触れた途端もっと水みてえな音がした。
 ええ、なんで!??、とか思って、混乱しながらくっついたところを見てみたら、先っぽが俺の体の中に食い込んでた。
 あらやだ、見つけちゃったの!?、みたいな感じに眼球を飛び出させてびびってたら、そいつは中に入りたそうにぐいぐい動いてきた。頭を動かして、何とか分け入ろうとか努力してた。
 その動きがなんか微妙で、面倒臭くなった俺は、しょうがねえからもう少し身体を下に下ろしてやった。刺さると痛そーとか思ったけど、口ができた時も痛かったわけじゃなかったし、どーにかなるだろの心境でそこを押し付けた。
 そしたら、ぐいって。ぐいって入った。
 いやむしろ音なんかもっとリアルに表現したらやばそうな感じだったんだけど、とりあえずずるって入った。どこまで入るんだよって思うくらい、なんか身体の中はすべすべだったみたいだ。水漏らしてるみたいでやべえとか思ってたけど、それのおかげで助かったっぽい。
 あのでかくて太いのが中に入って、びんびんに膨れ上がったのがすげえ怖かった。
 でも、達成感もあった。やっとおまえの好きなことができたな!って、肩を叩いて(ねーけど)喜んでやりたい感じだった。
 けどそいつは急に勢い良く動き出してきて、なんつーか喋ったら舌噛みそうなくらいがんがんに動いてきた。てか、震度何!?ってくらい、脳味噌まで揺すられてるような感じで、全然揺れが治まらねえっつうか。
 そのうち股の間をでっかいのが出たり入ったりするのが気持ち良くなってきて、俺は知らないうちにそいつに身体を擦り付けてたみたいだ。よく覚えてねえけど、ひえとか声に出してるのにくっついてる所は違うことしてるっつーか。
 下から突いてくる動きに合わせて身体を動かしてたら、もうわけわかんなくなって脳味噌ぶっ飛んだっつーか。
 もしかして俺侵略されてんのか!?とか思いながらずっと揺さぶられてたら、いきなりすげえ強烈なのが来て、本当に頭が吹っ飛んだ。布団がとかダジャレ言ってる暇もなかった。
 それからそいつも全部出してきて、俺の中にさっきみたいな白い奴を一杯零してから出て行った。
 ていうか、俺が前へへたり込んだ拍子に抜けただけなんだけど。
 もー、なんつうか、頭ん中が真っ白で、全然物は考えられねえわ、手足にゃ思うように力が入らないわでくたくたになって倒れてたら、いきなりもう片方のベッドの端から声をかけられた。

「おやびん、気が済みましたか…?」
 はあ、とか肩で息をしながら起き上がってきたのは、いつも俺の股間をべろべろするそいつだった。
 悪い夢でも見たような感じに、だらだら汗がその表面を伝ってる。顔なんか赤いし、目付きはちょっと暴れん坊みたいにぎらぎらしてた。
 え!?、てことは…!???
 私、もしかしてまたやっちゃったのッ!!!??????
「そんなにして欲しいのなら、探偵の真似なんかしなくても良いですよ」
 毎晩サービスしてあげますよと、困ったように笑って言う。
 違う。んなこと一つも望んでない。
 大体俺がここに来たのは、怪しいのがいるっていう投書があったからで…。
 目ん玉をぐるぐる回しながら汗だくで言い訳していたら、ぐいと腕を引っ張られて、ごっつい腰を跨がせられた。
「さっきみたいに、俺の上で動いてみてくださいよ」
 おやびん、とにこやかに笑いかけられる。
 やべえって、目が笑ってねえって!!(こいつ怖ええ!!!!!)
 ぎゃーと思ってたら、伸ばしてた足を曲げて胡坐の上に俺を乗っけた。
 そこからはもう、朝までがんがんに突っ込まれたってだけじゃ済まなかった。


 いつごろから、俺がいるって気づいてたんだよ。
 あとでそいつに聞いてみた。
 もしかして、切れて叫んだ時にバレちまったんじゃねえかなと思って。
「さあ、どこからでしょう」
 そいつの知り合いは、ぼりぼりと後頭部をかきながら青い空を見上げた。
「…面白くねえな…」
 ぶっすりと膨れた面のまま呟いて、歩きながらきっと睨む。
 そしたら真上にいる奴はこう言った。
「おやびん、それは俺の一部分ですからね」
 別物じゃないですからね。

 どうやら破天荒は、俺とこいつの仲を勘繰っているらしい。


 …ギャグです。

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