きみはぼくの。
円卓の前で足を開いたまま腕を組んで黙す。
タヌキ寝入り体勢。なのに周囲はお構いなしだ。
帝王カイを囲んで愉快なセクハラメイツ四天王のうちの三名が談笑。
笑っている者など誰一人そこにはいなかったが。
「カイだったら何て言われたい?」
口説き文句大会。
言い出しっぺと事の起こりは不確定の、議論はそれ。
「”至高の星だ”」
「(定番だな)」
「でっかい飴玉だ…!」
「(何だそれは)」
「…(修道院の煙突…)」
「”前世からの恋人だ”」
「(勘弁しろ)」
「七面鳥の足だ…!」
「(食い物から離れろ)」
「…(履きなれたスリッパだな)」
「やはりベーシックに”運命”か」
「(かなわん)」
「腹一杯のご馳走だ…!」
「(帰れ)」
「…(クリスマスのプレゼントだろう)」
三人三様。ある意味飽きない。
「かけがえのない魂だ」
「(言ってろ)」
「奥さんだ…!」
「(まんまだろうが)」
「…(俺の)ものだ」
「………」
一向にだんまりの話題の主役。
だったら何が気に入るのかと無視を決め込んでいる人物に問う。
にやり、と頬を歪め。
重い瞼がゆっくり持ちあがる。
水を打ったような静寂の中、ぎらつく眼光に宿ったのは。
「”俺の『(ベイの名前)』だ”」
カイ専用。
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