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無題005

 達者。

「カイは俺を馬鹿にしているのか」
 今更。というか、何が。
「ゴムの話だ」
 男同士で言うゴムは、女の言うゴム跳びとかのゴムじゃない。
 世のこんどう何某さんに失礼なあのくだりか。
 つい先日のことなので、記憶は割と新しめ。
「別に馬鹿にしてやしない」
 わからないのならそれまでだと言っただけ。
 わざわざ蒸し返していれば、本当の馬鹿になりかねない。
 いや、すでに其也。
「俺の房術を疑っているだろう」
 ぼう。
 なんで下ネタにスポーツとしか思えない棒術が出てくる。
 卑猥な話題にお得意の分野をひけらかすだけ、愚の骨頂。
「違う。閨房術のことだ」
 耳慣れない言葉を受けて、視界が歪む。
 眉間と鼻の付け根と瞼、それぞれに。
 待て、と寸止め。
 理解できない単語を調べさせろと資料を請求する。
 あるいは図書館へ行かせろ命令。
 せめて辞典を引かせろと、不機嫌な面で要求すれば。
「隠語だから載ってないと思うが」
 こいつ、言葉を学びすぎている。
 ものすごく余計なところまで。
 自分にだとて操れない類いの名前まで飛び出せば
 わずかな敗北感すら感じる。
 間。
 中国史の与太話。
 雑話を取り上げた本を読み終えて、一言。
「えせ純朴野郎」
 決着は、次回へ持ち越し。

 中華四千年。




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