アークスは日夜戦闘に追われているわけではない。
無論、不測の事態に備えて何時でも出撃できるよう準備を整えているが、合間を縫って趣味に興じる者もいる。
自分はといえば、前から興味を惹かれていたクラフトを現在レベリング中だ。
自身のためにやっていることだが、一度始めるとやめられなくなる性分が災いして、今も予算に余裕があれば没頭している。
戦闘だけがアークスの存在理由ではないと思いたいが、実際はダーカーから市民を守ることが目的だ。
その中でも、数々のアークスの命を奪ってきたダークファルス本体との戦いは非常に体力を消耗する。
奴らの攻撃が外的なものだけに限らないというのが一番の理由だ。
ダーカーに接触し、因子に侵されずに止めを刺せるのはフォトンを使うことのできるアークスだけ。
しかし、侵されることはないものの、内側から体組織を破壊する攻撃を戦闘の度に受ければ、如何にアークスと言えど全快するまでには数時間を要した。
連戦が続けば肉体の強度は弱まり、脆くなる。
フォトンの力を持っていても、生まれながらに備わった資質以上に体を強靭にすることはできないからだ。
アークスは短命ではない。
貴重な戦力であるがゆえ、そうさせないように組織されている。
メディカル・センターで肉体の修復に時間を割くことが義務化されており、アークスの健康管理に重点を置くことはオラクル全体の共通認識だ。
だから、ダークファルス――特に深遠なる闇との戦闘後、メディカル・チェックを受けたのちに部屋に戻って死んだように眠るのは保身のためだった。
いち早く戦線に復帰できるように、休息に努めていたのだが――
「そうか、おまえは善意でやってくれたのか」
寝台に横臥している間、本能的に催していたところを見られてしまったのなら仕方がない。
手を伸ばして、下腹部を摩り、太くなったそれが達しやすくなるよう手助けしてくれたのであれば、感謝こそすれ怒りを覚える必要はない。
例え硬質だがあたたかな温度を持ったキャストの逞しい指で後穴を直接刺激されてその掌の中に何度も吐精したとしても。
「……そんなわけがあるか!!!」
薄らぼんやりとした意識の中で、下半身にはっきりと残った感触を再び思い出し、男は思わず怒号を発した。
-2016/--/--
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