蒼いマスクの超人に抱き上げられる。 ボロボロの風体。 行き倒れていたのだから、相応。 どこかで見たことのある風貌。 どこぞの有名人だろうか。 鉄器兵を思わせる頭部全体を覆ったマスク。 覗かせるネイティブアメリカン風の羽のピアスと 無造作に流した長いブラウンブロンド。 「クロエ」 名を呼ばれて頭を上げる。 頭上の顔は、前方を向いたまま微動だにせず。 「オレの名はケビンマスク」 「………」 「K(ケー)E(イー)B(ビー)I(アイ)N(エヌ)」 「ケビンだ」 スペルを間違えられるのが嫌なのか。 丁寧にキングズイングリッシュで綴りを一から述べる。 発音どおりに名前を呼ぼうとして。 「下品…」 空気が固まった。 |